開沼 博さん
社会学者・福島大学特任研究員
原発廃炉の現状を調査して発信


 

福島大学特任研究員として、福島の復興や諸問題を研究、発信していることで知られる社会学者の開沼博さんも今回ハマコンでプレゼンを行った1人。これまで農水産業や観光、各地の除染の問題など幅広く研究を行ってきましたが、目下力を入れているのが廃炉の状況を調査すること。近く廃炉に関する本を書くという予定であり、さまざまな立場から幅広い意見を聞きたいとハマコンに参戦しました。

開沼さんは、2006年から原発のフィールドワークをスタートし、震災後は福島の復興について研究、発信してきました。著書『はじめての福島学』を目にしたことのある人も多いことでしょう。現在は「福島エクスカーション」という視察ツアー形式で学びの場を提供したり、「福島学カフェ」と称した、気軽に入れるイベントを通じて、福島の現状を全国各地の方々を共有することを活動の柱にしています。

福島について幅広い研究を行ってきた開沼さん。少しずつ福島の現実が伝わってきていることを実感しているそうですが、廃炉の状況については今なお「ステレオタイプで語られている現状がある」と指摘します。線量計をこれ見よがしに地面において線量を強調したり、汚染水の問題などをセンセーショナルに報じるものが多く、未だに爆発直後のイメージが払拭できない人が多いのではないでしょうか。

それらを改善するための本を、開沼さんは書こうとしています。具体的には「福島第一原発廃炉図鑑」というものを来年刊行する予定だそうです。また、現場の作業風景などを収めた動画も制作したいとのこと。開沼さんが「原発について一番何が知りたいか、制作するとしたらどんなコンテンツがいいのか意見を聞かせて欲しい」と訴えかけると、会場からもさまざまな意見が寄せられました。

 

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幸運にも、ハマコンの観客の中に原発作業員の給食に携わる方がいたり、現場作業に携わる人がいて、具体的な意見をしっかりと聞くことができたそうです。シリアスな問題であるだけに、開沼さんのブレストグループはピリっとした雰囲気を感じましたが、そうした真剣な提案の場が生まれるのもハマコンの意義。最後には皆さんにこやかに談笑され、充実した時間であったことが伺えました。

ハマコンでは、それぞれのプレゼンに与えられた時間はたった5分しかありません。しかし、ライブ感のあるスピードが会場に一体感を生み、その後のブレストの時間の熟議に繋がります。ブレストも直感的にどんどんアイデアを出すスタイルであるため、多様な参加者の考えが数多く、ダイレクトに混じり合います。だからこそハマコンには「濃縮された時間」が流れるのかもしれません。

開沼さんも「期待した以上によかった」と好評。「多様な人たちに参加して頂けたことで、意見がさまざまに集まった。興味を持ってくれる人がこんなにもいるんだということを知ることができ、モチベーションもあがりました」とのこと。浜通りに暮らす人たちが持つ人的資源と、開沼さんの研究・発進力が結びつけば、必ずや廃炉の現状を的確に伝える本ができあがるはずです!

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